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千夜千冊・1752夜、大塚英志さんの『「おたく」の精神史』を読んで思い浮かんだことを書いています。
ぼくが中学を卒業するぐらいまでは社会的に「おたく=ネクラなマニア」というイメージが強かったように思います。ぼくの親もマンガやアニメというのは、大人になったら「卒業するもの」と思っている世代でした。
オタクのイメージを小児性犯罪と結び付けたのは「宮崎勤事件」だったということは、うっすら憶えています。それでぼくら世代の大部分には「おたく=アニメ好きロリコン」という考えが浸透しました。
そのマイナスイメージを回復したのが『電車男』ブームだったように思います。あの作品が出たころから、単純に「おたく=マンガやアニメが好きな人」と思われるようになり、大人がマンガを読んだり、アニメを見るのが普通になりましたね。今や○○オタクや○○マニアは、○○趣味とさして変わらない使い方をされているのではないかと思います。
ぼくは一時期メイド喫茶などが流行したころ、とある雑誌社にやたら女の子の絵を「萌えるよう丸く」するように言われたのですが、それが出来ずに投稿用のマンガを描くのが嫌になりました。
多分ぼくのなかに、性に対する社会的判断があいまいな小中学生を、性的搾取の対象として消費する、児童ポルノを連想させる「萌え」「幼女系エロ漫画」に対し、「宮崎勤事件」などで形成された強い嫌悪感があったためだと思います。
今でもぼくはどちらかというと、そういった漫画は子供の身代わりになって実際の犯罪を防いでいるというよりも、犯罪行為のイメージを刷り込んで、(そこに現代の社会環境による中毒的生活や孤独が加わり)小児性犯罪を助長しているのではないか…という考えです。
ただ小児性犯罪につきましては、そういった孤独な一般人だけが犯すのではなく、「悪魔崇拝儀式」や「アドレノクロム」など、人身売買や組織犯罪とも深く結びついているので、両方見なければ、金で最もあさましいことをしている権力者側だけが自分たちの行いから逃れ、片手落ちになる感じがします。
そういえばこういったことをしている権力者連中は、今度は河野太郎大臣を日本の総理にして戦争をしたいらしいです。いよいよテレビは見ない方がいいと感じることばかりです。
また話が逸れてしまいました。
ぼくはマンガを描いているけれど、「マンガ好き」というほどマンガを読んでおらず、詳しくありません。高校生の頃から映画を見るか『剣客商売』や『鬼平犯科帳』などの時代小説ばかり読んでいました。マンガ好きの人と何を話していいか分からなかったので、マンガ研究部などに入ることもありませんでした。ぼくはマンガを描いているくせに、同時代のマンガ好きな人と、どうやってつながったらいいのか分からなかったのです。
ネットで無料公開するまでは、一人で描いて雑誌に投稿するばかりだったし、好きで描いていた落書き的ノートマンガは、Kちゃんにしか見せていなかったので、ぼくはある意味「二次創作」やコミケなどで盛り上がれる「おたく」の人々よりずっと〝こそこそした雰囲気〟だったでしょう。
今夜は1983年にこれほど多くの印象深い出来事がおこっていたということに驚きました。
しかし、ぼくが先生に「何かが示し合わせたように重なりあってシンクロ顕現していると感じざるをえない」と言っていただき、今のぼくがソワソワザワザワするような気持になるのは、東京ディズニーランドの開園や、ファミコンの発売に対してではなく、寺山修司さんが亡くなったことや、前年の1982年に先生の「遊」が休刊になったことについてです。
まるで感門のときに先生が話された、「当時の先生の心境」が、今のぼくにも響いているようです。
ぼくはガンダム世代の下にあたるのではないかと思います。その先輩方についていくこともできなければ、普通になることもできなかったようなもので、おたく文化が「同床異夢のシミュラークル」を形成していたとしても、ぼくは「そこ」からすらもはじかれているように感じます。
しかし「おたく文化」の中央からはずれたために、ぼくは岡部さんやTさんのような人や、パーマカルチャーなどの、別の世界に出会うことができたのではないかな…という気もしています。
そうそう。20歳頃、トイレ掃除のバイトに通う電車の中で読んでいた『名言ことわざ辞典』に、プラトンやパスカルだけでなく、サミュエル・ジョンソンもいました。
こんやのお話はリンクが大量(笑)で、それでも全部読んでからゆっくり感想を書こうと思っていたのですが、本日「突破賞」と『知の編集工学』が届きまして、表紙の先生のお顔を拝見しましたら、なんとなく早く書かなければならない気がしました。テレビを見ない時間を使って残りのリンク先をじっくり読みたいと思います。
もっと勉強し、一方ともう一方の「際きわ」が交差して、PON!と世界を変える何かおもしろいモノが生まれますように。