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ダブリンの人びと

執筆者の写真: Hisahito TeradaHisahito Terada

 


 千夜千冊・1744夜、ジェイムズ・ジョイスさんの「ダブリンの人びと」を読んで思い浮かんだことを書いています。

 先生、今夜のお話はもう、ISIS編集学校の『破』応用コースの「物語編集」に向けた形になっているように思われたのですが、ぼくはまだまだ「クロニクル編集」で悪戦苦闘中です(笑)。

 パソコンに向かっている時間の方が長くなっているのですが、その隙間にちょっとでもマンガを描いているので、本を読む時間はさらにその隙間です。けれどついうっかり葉室麟さんの時代小説などに手を出すと、たちまち一気読みしてしまうので、最近は先日図書館で借りたアーサー・ビナードさんのエッセイ『空からやってきた魚』をちょっとづつつまんでいます。

 もっと本を読むのは受講後になるかもしれませんが、講座や千夜千冊のおかげで色々な作家の本に興味が湧くようになりました。

 一応「物語編集」参考用のクレヨンしんちゃんの映画だけは観て、ネットの無料視聴キャンペーンの時間が余っていたので、ついでに『モーレツオトナ帝国の逆襲』も観てしまいました。

『オトナ帝国』は敵方の大人が先生たち世代の若かりし頃のようなスタイルで、シンちゃんの両親がぼくらの親と同世代にあたるのかと推測しました。同じような時代を描いた『ALWAYS 三丁目の夕日』より一筋縄にはいかないものを投げかけているなと思いました。

 ぼくにとっては、自分のマンガはたしかに「神さまが植え付けてくださった」ように感じるのですが、ぼくの中にはそれ以外の物語はあまりないので、稽古は既に肖っているマンガとは別なものとして、編集学校の枠に沿ってやっていくのだろうと思っています。まだ今までや今夜紹介されたどの作家さんの方法に肖るのか、どうなるのか全く想像がつきません。

  賞などもあるけれど、ぼくは試されたり比較されることや競争が、小心者故かいつもドキドキして心臓に悪いので、なるべく気にしないようにしたいなと思うのです。ただ『離』を受講するためには、ともかく提出することが大事なので、目の前のお題に最善を尽くすことだけを考えようとしています。

 ぼくも「世界街歩き」が好きでよく観ていました。「猫歩き」も好きです。

 けれどぼくは今の福岡の街は全く好きじゃありません。再開発ばかり進んで、どんどんどこもかしこも似たような、出かける意味の無い、「他者との出会い」の無い、機械ばかりでグローバル景色になっているなと感じます。ゼネコンズブズブの人工島も街路樹が貧弱で空気は薄汚れています。

 ぼくらはもうビルも大型複合施設も欲しくありません。家族と用事があって出かけて通る度「全部森にすればいいのにね」と話しています。ぼくが市長になったら5Gタワーなんかとっととぶっ壊して、建物全ての屋上にソーラーパネルを設置し、空き地を雑木林に囲まれた市民農園と自由なイベントが開ける天然芝生にするのにな。もちろん農薬も除草剤も撒きません。

 自粛が解除されたけれどもどこの店も消毒だらけなので、そんな街を歩きたいと思いません。けれどよく行く某自然食品店などは、過剰な除菌が身体に有害なことをお店側がよくご存じで、その点感心しました。

 みんなが長い間髪を切れなかったので、千円カットは長蛇の列です。チェーン店なんかは全くプロパガンダにきっちり従っているものだから、テレビみたいに隙間をあけて突っ立っていました。それでぼくはしばらくぶりに美容師の免許を持っている弟のお嫁さんに切って貰いました。この茶番が続くなら、これからはますますAB両面を知っている人との関係が重要になって来るなと感じています。

 ぼくがもし先生に、自分のよく知る街を案内するなら、通っていた高校近くの香椎に行くでしょう。神功皇后にもゆかりの深い香椎宮の参道は街路樹も大きく古くて、夏の日差しをふせぐのに丁度いい木陰ができます。

 参道沿いの『石村萬盛堂』は、ケーキを買ったらコーヒーや紅茶が飲み放題なので、高校生の頃はKちゃんとよく利用していました。しかしコーヒーをブラックで飲むようになってからは隣の『ナンの樹』という専門店に行くようになりました。1杯分の値段でおかわりが出来て、しかも違う種類の豆で淹れてくれるので、コーヒー好きや奥様方が重宝しているようです。隣に店の所有する小さな古民家のギャラリーがあって、展示会やちょっとしたイベントにも使えるらしく、ぼくは時々あの店でコーヒーを飲むと、そのギャラリーで占いとか、何かおもしろいことをする自分を想像してしまいます。

 昔は(全くキレイではない)川の傍に『千石焼』という地元では有名な甘味屋さんと、『むっちゃん万十』の店があったのですが、再開発で『千石焼』は、移転してしまいました。時代劇の茶店みたいに小さな店を、絵に描いたみたいな老夫婦が営んでいて、大判焼きと夏のかき氷が名物なのですが、本格梅酒を使ったかき氷でKちゃんが酔っ払った思い出があります。『むっちゃん万十』もムツゴロウの形をした大判焼きみたいな食べ物なのですが、みんな「あんこ」ではなく「ハムエッグ」ばかり食べてました。

 そうそう、この近くに『弥五郎』といううどん屋さんがありますよ!実は『侍JOTO』の『円屋』の店の中を描くときイメージしたのが、『弥五郎』の古いビルの方の店内でした。

 なんだか街の話が食べ物の話ばかりになってしまったなぁ…。

 きっと高校時代部活に入らず(正確には美術部の幽霊部員だったのですが)、Kちゃんとこの街で買い食いしながら、とりとめのない話ばかりしていたせいです。

 

 食べ物意外というと、ぼくが一番行ったのは「ミナミ画才」です。まだオンラインの画材屋さんが少なかったので、ぼくはあの店で何十分もトーンやコピックといったマンガ用品と「にらめっこ」し、「はじめて」のマンガ専門用具を揃えました。定価なのですが、じっくり見ても急かされたりしない店の雰囲気が良く、女性の店主が穏やかで、いつも変わらぬ印象です。時任さんがぼくに天照大神の絵を描かせて、あそこで額装をしてもらったこともありました。

 

 最近は福岡の『うさと』展を香椎で開催することもあります。ああ、最後は宣伝になってしまった(笑)。

 う~ん、街の案内が編集稽古になったかな~。

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