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動物化するポストモダン/ゲーム的リアリズムの誕生

執筆者の写真: Hisahito TeradaHisahito Terada

 

 千夜千冊・1755夜、東浩紀さんの『動物化するポストモダン/ゲーム的リアリズムの誕生』を読んで思い浮かんだことを書いています。

 後頭部の手術は無事終わりました。頭皮への麻酔の注射が一番痛かったです。頭皮をねじりながら引きちぎっているようで、効いてくるまで上皮細胞に浸透する麻酔液の冷たさを感じました。切開と腫瘍摘出自体はボーっとしている間に終わって、術後の痛みは、腹を掻っ捌いたときに比べたら、やはりたいしたことはありませんでした。

 Оリングテストをしたら「NO」だったので、「化膿留め」も「痛み止め」も、薬は全く飲んでないのですが、ぼくが何でもハイハイへェへェと返事をしているので、お医者さんは処方した薬が効いていると思っているのか「順調順調、治りが早い」とご満悦でした。

 コロナ対策・対策といたしましては体温計を持参し、病院に入る手前で測って、あのバーコードリーダーみたいな検温器を向けられる前に体温計を見せ体温を告げます(ぼくはあの検温はマイクロチップを入れた人間をコードリーダーで商品奴隷として管理するときの心理的抵抗を無くす、洗脳のための予行演習なのではないかという気がしています)。臭い消毒液を吹っ掛けられるので、すぐ流水で落とします。病院の中だけ竹布のマスクを口にだけしています。あーーーーめんどくさーーーーと思ってしまいます。主治医のセンセイが、手術中ぎゃへっぎゃへっと馬鹿デカいクシャミしていたのはおもしろかったですが…。

 通院する度の待ち時間など、本を読む機会が増えたように思います。

 『正岡子規』は読み進めるうちに、また印象が二転三転してしまいました。食事の記述に、以前どこかでチラっと明治の食事と病気の関係に関する文章を読んだのを思い出しました。ぼくも子規は果物と乳製品・肉類の食べ過ぎで、これが病気を重くした部分があるのではないかと思います。 

 また、中国人や近視の人や女性に偏見があったりして、時代がその人に及ぼす影響というものや、それと比べて自分が今の時代に生き、生かされている意味を考えさせられました。そういったことと共に、子規への虚子や碧梧桐の情けが沁みたりもして、本書最後にある、何度も教科書で読んだはずの有名な辞世の句が、まったく違う重みを伴って響きました。今は甲斐大策さんの『餃子ロード』を読んでいます。

 ぼくには今夜のお話がよく分かるように思いました。

と言っても、今夜のお話で扱われている作品のほとんどをぼくは見たことが無いのですが、『動物化するポストモダン』のほうは特に

  オタク系文化は巷間言われているようなクール・ジャパン的な「日本化」をおこしているように見えるのだが、それは歴史的な「真水(まみず)の日本」にめざめたからではなく、つまり近代以前の日本と素朴に連続しているのではなく、むしろそのような連続性を壊滅させた戦後のアメリカがもたらした欲望消費社会の介入が媒介になったせいではないか…

…というところに共感しました。

 ぼくは単に「漫画家になりたかったけど、なれなかっただけ」ではあるのですが、ついに、とうとうそうなってしまったというか…今はさらに自分のマンガを売りたいと思わなくなりました。読んでもらえたら嬉しいけれど、消費されたくないから、商品として売りたいという気持ちが無くなったのかもしれません。


 妙な話に聞こえるのかもしれませんが、今のぼくは、地球の持続可能性という面からも、個人的な精神面からも、自分のマンガのキャラクターがフィギアになって所有されたり、勝手に性的消費対象としての二次創作物にされるということが無くて良かったと思っています。きっとこの先も永遠に無いと思うけど、ぼくはそんなことをする相手がいたら衝動的に殺してしまうのではないかと思います。

 はっはっは、ぼくはイカれポンチのポンコツ野郎なので気を付けてください(笑)。

 しかしぼくは特に世の中のオタク文化やアニメ・マンガの動向や二次創作に対して何かを思うというワケでもありません。ただ自分とは別世界の流行現象(テレビがやってる世界)として観ている感覚です。甥や姪やお絵描き好きの友達が、彼らの好きなマンガやアニメの絵を真似して描いているのは、ぼくにとっても単に懐かしく微笑ましい光景です。芸能人ではないアニメ好きの人たちの、コスプレという「お祭り」にかける情熱や、キャラクターに惚れ込む気持ちには感心しますし、ぼくもカラーの絵はコスプレ感覚で描くのが好きです。

 一方『ゲーム的リアリズムの誕生』では、マンガを描く人間として新城ツヨシさんの言う「ラノベの特色」に共感しました。と言ってもぼくの場合は、大まかな青写真はあるので「ドラマとキャラクターが分かちがたく結びついている」と言った感じかもしれません。ともかくぼくにとってキャラクターはとても大切なモノ達です。

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